世の中のあらゆるものをネットに繋げるには省電力で、省コスト、広範囲に電波が届く通信が求められます。 その問いへの解決策として考えられたのがLPWA通信です。Low Power(省電力)でWide Area(広範囲)の通信が行える文字通りの意味を持ちます。
4G通信の100万分の1のデータ通信速度「遅くても充分」
全体の9割以上のIoTデバイスは極めて少量のデータ(温度情報や測位情報,etc.)を通信します。そのため通信速度も高速なものは必要ではありません。一般的にスマートフォンで使われている4G通信は1秒間に75~100MBのデータ通信を行いますが、これはIoT機器が必要とする10万~100万倍のデータ通信速度になります。IoT向けの低速通信は省電力化と通信コスト削減に大きく貢献しています。
IoT機器は少量データしか扱わないため、データ送信速度の低い低周波数の電波を利用します。波長がなめらかで長い電波は雨や地形などの様々な環境ノイズに干渉されにくく遠くまで届きます。この特徴が広範囲通信を実現します。
大容量通信のWi-Fiの通信範囲はアクセスポイントから10m~100mと言われていますが、LPWAは数㎞から数十km離れていても通信が可能です。電波が広範囲まで届くという事は基地局やゲートウェイの数が少なくて済みます。すなわち低コストで通信網を構築出来ます。
LPWA自体は大まかな概念であり細かな規定は定まっていませんが、LPWAの考え方に基づいて作られた規格は世界中で数多くあります。例をあげてみます。
・LoRaWAN
・Sigfox
・RPMA
・FlexNet
・EnOcean Long Range
・ELTRES
・ZETA
・Weightless-P
・IEEE 802.15.4k(LECIM)
今回は、日本国内で一般的なLPWA2つ、SigfoxとLoRaWANの規格を比較してみます。
LoRaWAN | Sigfox | |
---|---|---|
概要 | LoRaアライアンスにより2015年に発足 | フランスのSigfox社が開発 2012年より商用化 |
FUOTA | 対応可 | 不可 |
通信距離 | 見通しで10㎞ | 30㎞~50㎞ |
周波数帯 | 920MHz | 920MHz |
通信免許 | 不要 | 不要 |
移動中の通信 | 時速40㎞まで | 時速20kmまで |
通信網 | 自営 | 京セラ社が整備 (2021年3月現在:国内人口カバー率95%) |
IoT機器から収集するデータ、収集する頻度は利用場面により様々です。LoRaWANは、課題に合わせたIoT構築が容易です。複数のベンダーにより、LoRaWan構築パッケージやIoTデバイスのラインナップも充実しています。また、LoRaWanはFUOTA(Firmware Update Over The Air)に対応しており、ソフトウェアに変更点やバグが発生した際に物理的に1つ1つのデバイスを回収せずに、遠隔地からアップデートが出来ます。IoTデバイスの用途/性質によってはFUOTAは必須の条件となります。
安定した通信網
通信環境をユーザー自ら構築する為、通信の冗長性の構築、第三者による通信妨害のリスクを下げられる事も利点です。モバイル通信やSigfox通信が届かない工場内、地下、山岳部、海外のエリアで安定的な通信を確立したい場合などに向いています。
Sigfoxの大幅に有利な点は、すでに基地局が全国に設置されている事です。ユーザー側が基地局を設置する必要がありません。現在、Sigfoxは全国95%の人口カバー率を誇り、山岳部などを除けば、全国何処からでも通信が行えます。屋内通信に弱い弱点はありますが、必要に応じてリピーダーやレンタル基地局を設置することで屋内でも利用が可能です。全国を不規則に移動する物流資材の追跡や、屋外に設置するIoT機器の通信に最適です。
1度の通信で最大12バイト、1日最大140回までの通信制限がありますが、ネットワークサーバーや基地局の準備無しで1台当たりの年間通信費100円~で済む事は他のLPWAと比べて大変魅力的です。
LPWA製品にはそれぞれ利点があります。 IoT化する対象、必要なデータ、データを必要とするタイミング、利用する場所などを考慮し、最適なLPWAを選択する事が重要です。
弊社のIoTの取り組みの1つ「カゴ車locaTor」は物流什器が全国のどこに何個あるのか知りたいというニーズに対しての解決案を提供しています。そのためには全国どこからでも通信ができ、通信頻度は1日数回、送るデータは位置情報のみ、電池交換や充電は必要とせず最低5年以上利用できる、といったニーズに合致したLPWAを探した結果Sigfoxを採用しました。
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